2016年10月20日木曜日

WEB版『森へおいでよ』第3回「飛び立つコゲラ」

今回はちくぜんらくのナイスミドル!?ダンディ木村こと、とりはかせのお話です。とりはかせは絵もうまく、俳句もたしなむ、芸術家肌。。観察会では鳥を愛してやまないいろんなエピソードを聞くことができます。そんな観察会での一コマをご紹介です。

 飛び立つコゲラ 

〜見守りながらの観察〜


 昆虫や草花、きのこ、岩石などは手にとって観察することができる。
 しかし、この点、野鳥は不利である。野鳥は手にとって観察することができない。
 観察会でも、虫とり網を持ってチョウやバッタを捕まえたり、毛虫や芋虫を初めて触って楽しそうにはしゃいだりしているのを横目に、足音を立てずに鳥の声に耳を傾けている。野鳥観察は意外と地味なのである。
 近くで鳥が鳴いてくれたとしても、観察会の参加者はなかなか目にすることができない。
昔の子どもは、ワナを仕掛けて野鳥を捕まえていた。それを籠に入れて飼ったり、空腹を満たすために食べたりもしていたそうである。
現在、原則的に野鳥を捕ることは法律で禁じられていて、生きた野鳥を手にすることができるのは、バンディング(研究のため、野鳥を捕らえて標識をつける)の資格を持ったごく一部の人たちだけである。
野鳥にはかわいそうだが、最も近くで野鳥を観察できるのは、野鳥が不運な事故に遭って生死の境をさまよっているときだろう。
 以前、「体育館の横でヒナが道ばたに落ちとうばい!」と観察会の参加者の一人が後ろから声をかけてきた。
 行ってみるとヒナではなく、キツツキの仲間、コゲラの成鳥であった。路上で身動きできず、じっとしていた。


目は瞬膜という薄い膜を閉じていて、人間にしてみると白目をむいている感じだろうか。状況から察すると、周りの森が映った体育館の大きな窓に当たって脳震盪を起こしたようだった。
 参加者みんなでコゲラの回復を願いつつ、この機会を逃さず観察することにした。
キツツキの仲間は木の幹に縦向きに止まるために足指は前2本、後ろ2本となっている。
そんな細かいところは、望遠鏡でもなかなか捉えられない。

 しばらく観察していると、コゲラの目は普通の状態にもどり糞をした。


野鳥が糞をするのはこれから飛ぶぞ!という合図だ。
我々はコゲラを見守る円陣を解いて滑走路をつくった。


飛び立ったコゲラは近くの木に止まり、何か言いたげに我々を見ていた。


筑豊の自然を楽しむ会 とりはかせ 木村直喜〔ザ・バードマン〕

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