2016年11月13日日曜日

いいねん!!11月どんぐりを楽しもう!

「森へおいでよ!」でも季節柄どんぐりの話題が続いていました。
それもそのはず!?11月の飯塚市自然体験プログラム「いいねん!!」は、
どんぐりを楽しもう!でした!この時期、ちくぜんらくのはかせたちは、どんぐりのことであたまがいっぱいになるとか、ならないとか。。。

というわけで、今回は
11月いいねん!!〜どんぐりを食らうぞ!!の巻〜

どんぐりを楽しもう!ということで、毎年いろいろと試行錯誤して体験プログラムを企画しきました、、さて、今年はどうなることやら。。

まずは、健康の森公園でいつもの「いきものさがし」です。
…少し風が冷たいけれど、ぽかぽかお散歩日和。
今日はどんな生き物にであえますやら。。

まずは、、きのこを見つけ
きのこを触り、ノウタケだそうです。
どんぐりを集め、
カエルを捕らえ,ニホンアカガエルね。


カマキリも掴み,ハラビロカマキリね。

と,ここまでが午前のいきものさがし。 午後は恒例の、その日にみられた生き物を報告しあう、いきものまとめ。

むしがいなかったので,植物から。
きのこもまとめ。

むしはちょろっと。

…ん?
クチベニタケ。

(笑)

では、いよいよ、どんぐりを楽しんじゃいます! 今回も味わう実験です!
まずは、希望者を募って、、
せーの!で生シリブカガシをいきます。
しぶい…

お次の、生ツブラジイは,
うまい!というよりは,まずくはない,か。
さあ,加熱!
こっちでシリブカガシ, むこうでツブラジイ。
シリブカガシは,
加熱すると,蝋が溶けて,ツヤッツヤ!
はいっ!できあがり!
二種類ずつ,せーの!で。

普通に,うまい。

クリみたい。

そうそう, シリブカガシは, 生のときに,苦味の奥にクリの香り, というなかなか重層的な味覚の表現がなされていました。


お次は、むいたどんぐりをミキサーにかけ、仕込んでおいた「どんぐり汁」で料理…?実験?
生スダジイ汁…。
粉っぽいけど,まずくはない。
大人にも人気。


さきほど生でしぶかった、シリブカガシ。 今度は、加熱シリブカガシペースト。

まあ,食える。

今度は大丈夫!?



では、砂糖を加えて,加熱!

シリブカガシペーストには, おろし生姜も。 すだじいペーストには, 牛乳も。

さあ, いよいよ,試食です!

カップには,スダジイの,どんぐりドリンク。

湯呑みには,シリブカガシの,生姜湯。 皿には,シリブカガシ豆腐。

手を合わせて,いただきますっ!
なかなか,好評です! よかった!!!



いちおう, サイエンティフィックな解説もしておきました


2016年11月11日金曜日

WEB版『森へおいでよ』第7回「むしを味わう」のつぶやき。。(バッタ)

こんにちは、岸本×太です。
「森へおいでよ!第7回 むしを味わう」 今回は, 言いたいこと書きたいことが山ほどありました。
が,
紙面の都合上, 字数制限ってもんがあり,書きたいことを抑えつつ, それでも,書けるだけ書く,ということとなりました。
まあ, 結果として,書けた方かな,とは思っていますが。
ちなみに, この回から,ネットでの公開が決まりました。
西日本新聞の担当の方から電話をいただきまして,
あ,何か問題でもあったかいな?
と警戒しつつ,出てみますと,
ネット版に載せてもいいですか?
ということでした。 そう,「好評につき」ってヤツですね。
で,尋ねたんです, 「好評につき」って,一体,どこの,誰に,どう好評だったのですか? と。
ふふふ, どうしても,気になる方は, 直接お会いしたときにでもお尋ねください。
ところで, 食文化って, 一体何かな,といつも思います。 これだけ情報伝達が発達したもんで, ローカルな文化は,悉く,変質したり,吸収されたりして消滅します。 本文にも書いていますが,方言と全く同じです。 それがまだ権力側からの押しつけのように, 無理やりやめさせられたり,という経緯があれば, 却って,人々は,忘れないように,こっそりと存続させていくのですが, 食文化や方言におけるマイノリティは, その文化を, 自ら恥じて,捨て去り, 新しく吸収したマジョリティの文化によって,塗り固めようとする傾向にあります。
もったいないと思いませんか?
喩えるならば, 巨大なカンバスに,モザイク状に精緻な絵がたくさん描かれている, そんな状態を美しいと思うのですが, ある箇所に,ペンキで,べたーっと大きな面積が上塗りされました。 それをみて,各所各所で, 真似るかのごとく,同じ色のペンキで,べたーっと塗ることが率先して行われているようなものなのです。 たしかに, 1色で塗られると,統一感がありますが, そこには何の愉しみもありません。
食文化において, 極端に言うならば, 1日これだけのエネルギに, これこれの栄養素を,それぞれこれだけ摂取すれば, 「健康」に生きられる, ということで, デンプンやタンパク質やらビタミンやらを粉末状にして摂取して, それで,愉しいか? ってことですね。 突き詰めていけばそうなってしまうんですよ。 この理屈, 頭がいい人間はすぐに理解できると思います。
もう,細かい説明がめんどっちいので, はしょります。
ちなみに,当方などは, 関西で長く生活していたもんで, 神戸弁を土台に,大学に入るまでは大阪弁が, 大学に入って以降は,京都弁も混ざり込んだ関西弁をずっと喋っていました。 福岡に住むようになり, 博多弁に近い福岡方言を,主に語彙の面で取り入れ, 筑豊に移り住んでから,筑豊弁も,同様に,語彙の面で取り入れた言葉を話します。 純粋さなど,クソ喰らえ,です。
あ,失礼。
おうんこをお召し上がりください,ですね。
単一,だとか,純粋の,だとかを, 文化や民族や国に当てはめると, 碌なことはありませんし, そもそも,そんなものは,幻想でしかありません。
てんでバラバラで, ごちゃ混ぜで, それぞれ,すこしずつの共通項しかないのが, あたりまえでしょう。 それを, 恰も, これは,こうでなければならない! などと大上段に構えると, 滑稽でしかないんですよ,ほんと…
まあ, そんな想いが渦巻いている中で, この本文を書いたもんで, 新聞に載せる文章としては, 挑発的,攻撃的な風になったのですよ,これが。 あくまでも,新聞用の文章としては,ですがね。

2016年11月10日木曜日

〜『森へおいでよ』紙面版リンクまとめ〜

毎週木曜日、西日本新聞の筑豊のページにて紹介していただいております。
旬のお話も多いので、リアルタイムで見られるようになって、ほんとにありがたいことです〜!ありがとうございます!


第1回 むしとの遭遇 さぁ、魅惑の世界へ

第2回 毒キノコ 採るな 食べるな 危険

第3回 飛び立つコゲラ 見守りながらの観察

第4回 里山賛歌 森よ林よ 我らが宿り

第5回 アカメガシワ 名に残る先人の生活

第6回 いきものさがし 笑顔いっぱい観察会

第7回 むしを味わう おいしい秋みつけた

第8回 秋の松林のキノコ マツタケだけじゃない

第9回 公園ぐるり野鳥観察    モズ高鳴きヒヨ渡る

第10回 里山の恩恵    知恵の結晶、山の幸 

第11回 おいシイの実、収穫   スダジイ、ツブラジイ

第12回 どんぐりあそび 子供たちに伝えたい

『森へおいでよ』好評につき。。


こんにちは。むしはかせこと岸本×太(ばった)です。
『森へおいでよ』第1回 から
早くも連載が「好評につき」とのことで,
西日本新聞のサイトで,
掲載当日からネットで記事を読めるようになりました!



という訳で,
ここの役割は,もう終わっちゃいましたねっ!

と言いたいところですが,
そうは問屋がおろしませんっ!

その理由を,
ごくごく当たり前のことから書いておきます。

まずは,
掲載用の文章というものは,筆者たちにとっては完成形です。
我々の場合,掲載までに次のような段階を踏みます。

・掲載の10日ほど前における筆者同士での原稿の推敲。
この段階を経て,用いる言葉や言い回しの一つひとつにまで至る「ちくぜんらく」としての意思統一がなされます。
その言葉や写真を用いたことについて,どんな質問に対しても答えられるようにしておきます。
筆者一人の責任ではなく,「ちくぜんらく」全体の責任になるのです。

・掲載数日前の編集との原稿のやり取り。
この用語は使えない,説明がいる,など,やはり細かい指示や質問が来ます。
載せる責任が西日本新聞にあるわけですから,当然です。

・前日までのゲラのやり取り。
何もなければ,紙面に掲載されるのと同じ形になって,眼前に現れます。
でも,誤字だけでなく,
あ,写真,間違ってました,差し替えて!みたいな,なんで今まで誰も気づかなかったの?
というようなこともあります。
また,きれいに並べた結果,こう変えて欲しい,ということがでてきたりまします。
時間の許す限り,
それこそ,掲載前日の夜に訂正をお願いしたこともありますが,
編集していただくことになります。
ああ,水曜が来たぁ,と思われているかもしれません…。

・こうして無事に掲載当日の朝を迎えます。

掲載された記事は,
このような,手間暇をかけて仕上がった,
いわば,血と汗と涙の結晶です。
つまり,変更や訂正の必要など,そもそもないはずのものです。
従って,掲載後に,書き換える必要があるはずもありません!
じゃあ,やっぱり,役割終わってるじゃないか,となりそうですが,

実際は,

紙面の都合で,写真が白黒になったり,
『新聞用字用語集』の制約を受けて,使えない文字等が発生したり,
と,筆者の思い入れをそのまま記事にできていない場合もあるのです。
あくまでも,完成形,ではありますが,
筆者の意向に完璧に沿うものではなかったりもするのです。

という訳で,

ここでは,裏話,その他,いろんなおまけの話を補足として添えることと致します!


前置きが長くなりましたが,
まずは,全体を通した約束事を,軽~く公開しておきます。

○本文では,以下の点で「である」調を基本に用いています。
・「ですます」調の前シリーズと書き手が一部重なり,テーマも近そうなため,続きに思われては困ります,ということで。
・掲載できる字数に限りがあり,その字数を稼ぐため。

○見出しも自前で作ることとしました。
・見出し(第1回では「さあ,魅惑の世界へ」という箇所)にも筆者が思いを吹き込みたい,ということで。
これ,8.5字~9.5字という制約があり,実は,苦労しています…。

○可能な限り,筑豊の各所の紹介につなげていく。
・「筑豊の自然を楽しむ会(ちくぜんらく)」による「筑豊の自然再発見!」なので当然ですが…。

というようなことです。


次に,第1回での裏話を。
書きたいことは,たくさんありますが,
まずは,目立つところで,
「むし」という表記,敢えて,平仮名にしている理由ですが,
これは,「虫」ではない,という意味を持たせています。
そして,本来「蟲」と書きたいところですが,新聞では使いづらいため,
「むし」と平仮名表記しているのです。

次に,
写真がたくさんあること。
これは,紹介したい蟲が沢山なこと(日本だけで種数にして30000種とか60000種とかいるのですよ,昆虫)と
紹介したい人やその表情が沢山なこと。

そして,写真に関してもう一つ,
「むし」そのものの写真が小さいこと。
前シリーズの時から,「むし」の回なのに,蟲の写真が小さくてよくわからない!って編集から言われることもしばしばでした。
しかし,蟲の写真だけなら,図鑑やネットでいくらでもきれいなのを見ることができます。
でも,当方は,そもそも大学院でも分類学をしていたわけではありません,生態学でした。
生態学は何がおもしろいのか,というと,関係性がおもしろいのです。
蟲と植物,蟲と蟲,蟲と他の動物,…。
で,今は,蟲と人との関係性がおもしろいって思えるのです。
ですから,
蟲をみるその人の表情が大事なのです。
人が写っていなければ,ここではあまり意味を持ちません。
珍しいとかも,ここではあまり価値がありません。
もちろん,珍しい種が撮れる(捕れる)と嬉しいです。
しかし,ここでのテーマにはならないのです。

ということを踏まえて,
No.1の記事を読んでいただくと,
なるほどね,ってお分かりいただけるかもしれません。

2016年10月27日木曜日

WEB版『森へおいでよ』第4回 「里山讃歌」

 里山讃歌 

〜森よ林よ我らが宿り〜



 我々,ちくぜんらくは,旧筑穂町では茜もりもり会,日吉ではみどりのくうかん,熊ヶ畑では里山の夢プロジェクトと協力して,里山の再生に携わっている。
「里山」を人里からの影響を受け続ける場を表す学術用語として最初に用い,里山の再評価を行ったのが,故四手井綱英氏である。すでに大学を退官されていた氏と山を歩くと,森や木について,自由な立場で話ができた。
 当時,薪炭→石炭→石油・天然ガスと変遷を経て,人々は里山を離れてすでに久しく,さらに,環境汚染や環境破壊への反省と反動から,「木を伐る」=「自然破壊」というステレオタイプが常識となり,人手の入らない自然林こそ「本物の森」とする風潮が幅を利かせていた。
 その中にあって里山の泰斗は「古うて大きい木ぃから伐ったらええんや」とやさしい京都弁でこともなげに言ってのけた。
 筑豊ではどうか?多くの里山で細い木が密集して暗く(1),
⑴細い照葉樹中心の森

1~2種類の照葉樹のみが優占する鬱蒼とした森と化している(2)。
(2)スダジイとアカガシのみの森

 モウソウチクの森への侵入と竹林の荒廃も見られる。筍が旨いため江戸期にはほぼ全国に広がったが,現在では放置が目立つ(3)。
(3)モウソウチクが侵入したスギ・ヒノキ林

 急傾斜地の棚田も放棄された。ススキが繁茂し(4),
(4)ススキが侵入した棚田

周囲からタケ・ササの侵入を許す(5)。
(5)ササ類が侵入した棚田

 これらはすべて里山で木を伐らなくなった結果である。
 では,木を伐るとどうなるのか?伐る前(6)と
(6)数本のスダジイを伐る前

伐った後(7),
(7)伐った後

一目瞭然である。

放置された里山の斜面を1年ほどかけて伐った(8)。
(8)広範囲に伐採した直後

自然破壊?いや,自然はそんなに柔ではない。
夏には草が繁茂し(9),
(9)1年半後

十数年後には元の姿に戻る。
 自然林では,老化や落雷・大風による倒木で明るい空間=ギャップができる。木を伐ることは人工的にギャップを作り出し,暗い林床に光を導くことなのである。
 手入れされた里山には心が洗われる(10)。
(10)比較的手入れされている里山

そんな里山が増えるよう,ちくぜんらくは,四手井氏にご教授いただいたことを,ここ筑豊で実践している。今後,その様子や仕組み,そして,里山のすばらしさを紹介する。きっと,里山を歩きたくなるはずである。

(筑豊の自然を楽しむ会・むしはかせ 岸本×太)

(1)(2)(6)(7)(8)(9)サンビレッジ茜(茜もりもり会),(3)飯塚市(茜もりもり会),(4)(5)宮若市日吉(日吉遊楽会)(10)嘉穂益富城自然公園

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今回は、里山についてまとめた記事となりました。
これらの活動は現在も地元の方々のご協力により、継続中です。
詳しくはお問い合わせください。chikuzenraku@gmail.com
地域の方々からいろんなことを教えてもらいながら、楽しく、頑張っています。
こどもたちにも自然散策したり、観察会をして、遊びに来てもらっています。

心が洗われるよな里山に。。私たちは見ることはできないかもしれませんが、
きっとこどもたちがそれをみてくれるといいなと。。。


そうそう、タイトルの「里山讃歌」・・・お気付きの方は 四手井先生とゆかりのある方かもしれませんが、先生は京大の山岳部のOB。その山岳部の歌、「雪山讃歌」をリスペクトしてバッタさんがこだわってつけました。サブタイトルも、、、実は歌詞をもじっています。
山を愛した方々の想いのつまった歌。よかったら、きいてみてください。

2016年10月20日木曜日

WEB版『森へおいでよ』第3回「飛び立つコゲラ」

今回はちくぜんらくのナイスミドル!?ダンディ木村こと、とりはかせのお話です。とりはかせは絵もうまく、俳句もたしなむ、芸術家肌。。観察会では鳥を愛してやまないいろんなエピソードを聞くことができます。そんな観察会での一コマをご紹介です。

 飛び立つコゲラ 

〜見守りながらの観察〜


 昆虫や草花、きのこ、岩石などは手にとって観察することができる。
 しかし、この点、野鳥は不利である。野鳥は手にとって観察することができない。
 観察会でも、虫とり網を持ってチョウやバッタを捕まえたり、毛虫や芋虫を初めて触って楽しそうにはしゃいだりしているのを横目に、足音を立てずに鳥の声に耳を傾けている。野鳥観察は意外と地味なのである。
 近くで鳥が鳴いてくれたとしても、観察会の参加者はなかなか目にすることができない。
昔の子どもは、ワナを仕掛けて野鳥を捕まえていた。それを籠に入れて飼ったり、空腹を満たすために食べたりもしていたそうである。
現在、原則的に野鳥を捕ることは法律で禁じられていて、生きた野鳥を手にすることができるのは、バンディング(研究のため、野鳥を捕らえて標識をつける)の資格を持ったごく一部の人たちだけである。
野鳥にはかわいそうだが、最も近くで野鳥を観察できるのは、野鳥が不運な事故に遭って生死の境をさまよっているときだろう。
 以前、「体育館の横でヒナが道ばたに落ちとうばい!」と観察会の参加者の一人が後ろから声をかけてきた。
 行ってみるとヒナではなく、キツツキの仲間、コゲラの成鳥であった。路上で身動きできず、じっとしていた。


目は瞬膜という薄い膜を閉じていて、人間にしてみると白目をむいている感じだろうか。状況から察すると、周りの森が映った体育館の大きな窓に当たって脳震盪を起こしたようだった。
 参加者みんなでコゲラの回復を願いつつ、この機会を逃さず観察することにした。
キツツキの仲間は木の幹に縦向きに止まるために足指は前2本、後ろ2本となっている。
そんな細かいところは、望遠鏡でもなかなか捉えられない。

 しばらく観察していると、コゲラの目は普通の状態にもどり糞をした。


野鳥が糞をするのはこれから飛ぶぞ!という合図だ。
我々はコゲラを見守る円陣を解いて滑走路をつくった。


飛び立ったコゲラは近くの木に止まり、何か言いたげに我々を見ていた。


筑豊の自然を楽しむ会 とりはかせ 木村直喜〔ザ・バードマン〕

2016年10月13日木曜日

WEB版『森へおいでよ』第2回「毒キノコ」

   毒キノコ   

〜採るな食べるな危険!


  観察会で子供達がきのこを見つけると「これドクキノコ?」とよく聞かれる。やはりきのこを見つけると毒キノコかどうか気になるようだ。そこで今回は観察会などで見られた毒キノコを紹介したいと思う。

①ドクツルタケ
  ドクツルタケ①は真っ白なきのこで,森の妖精といった雰囲気で生えている。ただ見かけとは裏腹に非常に強い毒を持っており,欧米では「死の天使」と呼ばれている。きれいなものには毒がある,このきのこには決して手を出さないように。

②オオワライタケ
 オオワライタケ②は初秋に笠城ダム公園で見られる。真黄色の株立ちが薄暗い森の中でひときわ目立つ。このきのこは多食すると狂騒状態になるそうだが,苦くて食べるどころではない。

③ヒゲシビレタケ
  ヒカゲシビレタケ③は飯塚市内で見られた。幻覚作用があり,マジックマッシュルームなどと言って出回っていたようだが,麻薬として規制されているため,持っていると警察沙汰になってしまう。

④キシメジ
⑤キチチタケ
 キシメジ④,キチチタケ⑤は古い図鑑だと食用と記載されているものがある。私も食用だと思い,これらのきのこを油いためにして食べたことがあるが,翌日ひどく腹をこわしてしまった。最新の図鑑ではどちらも毒キノコとして記載されている。

⑥スギヒラタケ
スギヒラタケ⑥も以前は有用な食用きのこであったが,今は毒キノコとなっている。

 食用か有毒かは常に見直されているので,図鑑やインターネットで最新情報を入手するとよいと思う。

⑦カキシメジ
⑧タマゴタケ
 最後にカキシメジ⑦とタマゴタケ⑧を紹介しよう。

   どちらが毒キノコだと思う?

     正解は・・・




カキシメジ。

一見派手なタマゴタケの方が毒キノコに見えるのではないだろうか。
毒キノコかどうかは一つ一つ覚えるしかない。

 これら毒キノコは珍しいものではなく,森の遊歩道沿いなどに普通に生えているので,知らないきのこは,くれぐれも採って食べようなどとは思わないこと。


(筑豊の自然を楽しむ会・きのこはかせ・弓削田和広)


ちくぜんらくのきのこはかせによる、きのこのお話。。第1回目でした。
いかがでしたでしょうか?なかなか奥深いきのこの世界。。。子供達もきのこをひとつ見つけだすと、次々見つけるようになって、ハマる子が続出です^^
実は、、、さらに奥深く。。と〜っても細かい話なんですが、ちょっと大事なお話。
「きのこ」か「キノコ」か文字にしてみるといろいろと奥深い議論がでてまいりました。。ここで、ちょっとした裏話を。。。





〜「きこの」?「キノコ」??(岸本×太)


 「きのこ」,「キノコ」の表記については,学者たちでもどうやら統一は取れていない気がします。因みに,相良直彦先生は「きのこ」と書くべき,と主張していました。「きのこ」とは,分類学的には寄せ集め的なものの通称なので,片仮名で書くべき学術用語ではない,ということなのでしょう。ただ,現実には学術っぽいところでも「キノコ」という表記も見受けられます。というわけで,「きのこ」も「キノコ」も,まあ,使っていいという認識なのでしょう。
 その上で,本文で両者が混在しているのは,別の意味を持ちます。「きのこ」を原則としながら,「毒キノコ」は目立つようにしたい,という著者の意図です。さらに,冒頭の「ドクキノコ」は,会話中なので,ということです。

「きのこ」という表記について,
例えば,
1.老舗の「日本菌学会」では,菌という用語で基本的には統一を図っていますが,
その一方で,学会主催の観察会の案内などで,「菌類(きのこ・カビ)」という表記を用いています。
2.比較的新しい「日本きのこ学会」では,学会の名称そのものが「きのこ」です。
3.その他,日本農薬学会,日本植物病理学会などの細則や報告などでも「きのこ」です。

上記の例に上げた学会は,
おそらく,我々一般人よりも菌類について造詣が深く,
また,菌類やその関連分野を扱う学問における先導役を果たすもの,と考えます。
そのような彼らにおける「きのこ」という表記の使用は,
決してテキトーなものではなく,
「カビ」というカタカナ表記との同時使用を鑑みても
歴とした理由を持ったものである,と考えます。

当方が若かりし頃,
相良直彦先生から習ったことも含めて,
その理由を挙げておきたいと思います。
1.「きのこ」は,生物の分類単位としての名称ではない。
生物の世界では,分類学的にまとまりがある場合には,
その生物群の名称は,カタカナ表記をすることとなっています。
(例えば,チョウは,鱗翅目のアゲハチョウ上科とセセリチョウ上科(近年,シャクガモドキ上科も追加)という近い分類群の総称です)
一方,「きのこ」は近縁のものの集まりではなく,寄せ集めのグループです。
これをカタカナ書きをすることは,近縁の分類群の集合体である,という誤解を与えることとなります。
2.「きのこ」は生物名ではない。
「きのこ」は,菌類の作る子実体に付けられた名称です。
つまり,生物につけられた名称ではなく,状態を表す語である,ともいえます。
従って,1.と関わることですが,
「きのこ」とは,子実体を形成するという共通点だけでまとめられた集まりを表す語ということになります。
シイタケ,キツネノチャブクロ,キクラゲという,分類学的にはおよそかけ離れたもの「きのこ」という1語でくくっています。
さらには,ムラサキホコリカビまでも入れてしまうことすらあります。
しかし,彼らは,子実体を作る,という1点では共通します。
このことは,菌類学者たちの用いる言葉にも反映します。
「マツタケが子実体を作った」というかわりに,「マツタケがきのこを作った」という表現をしたり,
「マツタケは微生物です」と言ったり。。。







今回は、
新聞の連載上では、「キノコ」というカタカナ表記が新聞表記で決まっている,とのことでカタカナで表記することになりました。。

・・・といういろいろと考える機会となりました。

連載第2回で、この表記の違いに気づいた方は、、、かなりの『森へおいでよ』マニアですねw
次回もお楽しみ〜!